営業主導型の翻訳会社の仲介機能について

2011.08.05

営業主導型翻訳会社は純粋な形の場合、営業畑の人が経営している。社内には翻訳ができる人が一人もいなくてもいい。翻訳者をほぼ常時募集して、大量の翻訳者を登録しておき、あらゆる分野、あらゆる言語の仕事を外注できる体制を整える。営業担当者が顧客をまわって仕事を受注し、登録翻訳者に下請けにだす。発注者と翻訳者の間の仲介機能を果たすことを本来の任務としている。だが、営業主導型の翻訳会社も、仲介機能を十分には果たせない。隙間分野に事業を絞り込めば、選んだ分野では仲介者としての役割を果たせるかもしれないが、それは例外的だといえる。営業主導型の翻訳会社は、大きな弱みを抱えている。奇妙なことを言うようだが、熱心な営業担当者を何人も抱えている点が大きな弱みになっているのだ。もっともわかりやすい点をあげるなら、営業担当者が多いために間接費の比率が高くなる。営業主導型の翻訳会社では通常、原価率(つまり売上に対する翻訳者への支払いの比率)が四十〜六十パーセントでなければやっていけない。単純に考えれば、発注者が支払う料金のうち半分しか翻訳者にはわたらない。つまり、営業主導型の翻訳会社が仲介者になると、発注者にとっての価格は翻訳者からみた価格の二倍前後に跳ね上がるのだ。営業主導型の翻訳会社の仲介機能はきわめて非効率であり、普通に考えれば成り立つはずがないと思えるほどだ。