気心が知れているだけに、彼と話す時は、敢えて気をつけているのです。「でも、あたりたくもなるんでしょうね。病気って、思うにまかせないことだから」「そりゃそうだよ。俺みたいにやりたいことやってからこうなったんじゃなくて、まだケツが青いうちから透析なんだから。なんでもかでも人のせいにしてさ、怒り狂いたい気持ちもわかるってもんだ。でも、そんなことずっとしてたってしかたないだろう?俺は弱者だ、ってところに開きなおってふんぞりかえったって、しかたねえじゃねえか。宮子さん、そう思わない?ダメだよ、患者をあんまり甘やかしちゃ。図に乗って、ますます弱っちくなるから」誰もがあなたみたいに強くはないのよ、と言おうとした言葉を私は飲み込みました。自分が特別な人間だと言われることを、彼は決して好まないだろうと思ったからです。